君だけを愛している…
第三章
「神よ!!どうか私達の息子を助けてくれ!」
1人の男と女は小さい幼児を抱え、教会で叫んでいた
「神でも悪魔でもいい…
この子を死なせないで下さい!!」
女がそう言うと…
『なら、私がその命を
生かしてやろう』
仮面で顔を隠した悪魔が姿をあらわした
「この子は次に王になるべき者だ……
しかし、心臓が人間のように弱くなってしまったんだ!
どうすれば!?」
『簡単だ…その心臓を我に授けるのだ』
「助かるのか?」
『ああ…しかし、そうすれば魔族でなくなるぞ』
「それでもいい…」
『では、心臓を』
悪魔が幼児の胸に手を当てると心臓がドクドクと動きながら出てきた…
そして、自分で腕に傷を つけ流れた血を幼児に飲ませた
すると幼児はさっきまでとは違い、一定のリズムで呼吸をし出した
「おお!有難い…
助かったよ!!!」
『1つ、覚えておけ…
そいつには心がない…
だが我の血が交ざっていてとても魔力が強い
それに初代魔王の血も流れている
強大な力がお前等を殺す事になるだろう
覚悟しておけ…』
悪魔は闇の中へ消えて行ってしまった
―哀れな呪われし子よ…
男と女にその声が届く事はなかった――