君だけを愛している…




春奈は大量の血を流し手が雪のように冷たくなっていた…



俺は春奈を抱き締め


剣で貫かれていた傷口に 手を当て

血の出血を止めた



そして、まだざわついて いる会場を後にし



城の最上階の部屋に運び 春奈をベッドに寝かせた



「春奈…―」






春奈は完全に傷を塞ぎ体に異常はないが

大量に血を流してしまった為、当分は目を醒まさないかもしれない…









「春奈…

お願いだから目を覚ましてくれよ




俺の涙を拭って、頭を撫でてくれよ…


春奈っ………」





春奈の手を握っているのに握り返してはこなかった…



俺は魔王である事を忘れ眠っている春奈の前で泣き続けた…




幼い頃よりも、もっと


身体中の水分を出しきるかのように泣き続けた











< 160 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop