君だけを愛している…
―花嫁―
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1週間前…
俺は忙しい公務に追われていたが、幼い頃から俺の側にいたカイの目を盗んで書斎から脱け出し城の庭に来ていた……
そこには綺麗な噴水に色とりどりの薔薇が咲いている…
俺は近くのベンチに腰かけ、一息ついた
ここは俺のお気に入りの 場所で、それを知っている使用人や騎士達は全く近づかない
だから俺も魔界の王では なく、1人の男に戻るのだ……
なにをするでもなく、
ただ物思いに更けていると――――――
突然、人間の血の臭いが した…
他の魔族なら庭の薔薇の 匂いで気づかない位、微かだった…
庭の奥は森のように木が覆いしげってる…
そこに意識を集中させると、苦しそうに息をする人間の姿を見つけた…
「…何故だ」
この城は周囲を高い塀で 囲まれ、守りの騎士も置いているから絶対人間などが侵入できるはずがない
俺は警戒しながらも
人間の元に近づいた……
段々と血の匂いが
森の中を充満していき
人間の姿を捕らえた俺は 驚愕した…