恋愛相談は校舎裏で
ゆっくりと息をはいて、鞄を持つ手に力を入れる。


早くしないと先輩の好きな子にいつ見られるか、わかったもんじゃない。


もう一度口をゆっくりと開き、言葉を絞り出そうとすると、

それはたった一言によって遮られた。




「……夏輝?」




(…え?)



スッと、透き通るような声。

私のものでも、先輩のものでもない。


声の方向には、ひとりの女の子がいて。


「あ……」


全身から血の気が引く。



ハーフアップでまとめた黒くて長い髪。

平均並みの身長。

表情は、何を考えてるかわからないほどの無表情。

そして、先輩を“夏輝”と名前で呼んでいる。




先輩の“好きな子”の条件にぴったり当てはまるその人。





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