恋愛相談は校舎裏で
「恭介、知ってんの?」

「…あの子、今年の新入生で“雪女”って呼ばれてた子に、むっちゃ似てんねんけど…」


「雪女?」



なにそれ?
それって悪口になるんじゃないの?



「…なにそれ」


「さぁ?俺もよう知らんけど、そう呼ばれてる子がおるらしいで?たしか…北…北川なんとかちゃん」



別に怒ってる訳じゃないのに、口から出た言葉は荒々しくて。

それに気づいた恭介は、少し戸惑いながら俺を見た。



…北川さん…か。



頭の中で、無意識にその名前を繰り返し呼んでみる。

まるで忘れないようにするかのように。

名前を呼ぶ度に、胸の奥底で小さな鼓動がおこっているとは全然気づかないままに…。





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