・3・
 戸を開くと雨音はいっそう強く優子の頭に響いた。嫌に湿った冷気が肌に纏わり付いて離れない。風に晒され暴れているシャツやジーンズや下着は、すっかり雨水を吸いきっている。これは洗い直さなくてはいけないと、心底げんなりしながら、やはり水浸しのサンダルに足を通す。と、白いシャツのむこうに、さらに目が醒めるほど真っ白なものが見える。
 よくみると、それはインコだった。いやに痩せて見える濡れそぼった体は、みずぼらしく縮こまって震えている。抱き上げてみたが、弱っているようで、抵抗するそぶりさえ見せない。優子はあんまりかわいそうに思い、家に入れてやることにした。
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