みつめていたい【短編】
6.気づき
そういえば――。
彼がどこで降りるのか、私は知らない。
このまま終点まで行ってしまってもいいのかな。
終点まではあと四駅。
たとえ途中の駅を乗り過ごしたとしても、大した距離ではないけれど。
いっそのこと、終点がもっともっと遠ければいいのに。
直後、そんなことを考えている自分に驚いた。
こんな風に気安く肩を貸してしまうことが全然嫌じゃなくて。
むしろ嬉しいとさえ感じてしまう相手なのに、私は彼のことを何も知らない。
そんなこと最初から分かっていたはずなのに、今さら心臓がちくりと痛んだ。
彼がどこで降りるのか、私は知らない。
このまま終点まで行ってしまってもいいのかな。
終点まではあと四駅。
たとえ途中の駅を乗り過ごしたとしても、大した距離ではないけれど。
いっそのこと、終点がもっともっと遠ければいいのに。
直後、そんなことを考えている自分に驚いた。
こんな風に気安く肩を貸してしまうことが全然嫌じゃなくて。
むしろ嬉しいとさえ感じてしまう相手なのに、私は彼のことを何も知らない。
そんなこと最初から分かっていたはずなのに、今さら心臓がちくりと痛んだ。