みつめていたい【短編】
……のに、私はこの二日間、彼を目の前にすると何も出来ず、普段と変わらず目覚まし時計をしている。


彼は今日も気持ちよさそうに、すやすやと眠っている。

電車はもう少しでM高前の駅に到着してしまう。


明日は土曜日で学校が休みだから会えない。

来週からは試験が始まる。

それが終わったら試験休みと冬休み。


今日渡さなければ、次はいつ会えるか分からない――…。

私の中に、焦る気持ちがふつふつと湧き上がってきた。


こんな中途半端な気持ちのままで、冬休みに突入してしまうのは嫌だ、って思った。


私は、祈るような気持ちで彼の寝顔を見つめた。


ちょうどそのとき、電車がM高前の駅に到着した。


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