もう一度だけでいい。

「あ゛?」

あまり話しかけられたことのない私はついドスの聞いた声を出してしまった。

「おいおい、茜っ、そんなにドスきかせんなって」

そう笑いながら私の肩をたたいたのは、楓矢ってやつ。

話したこともないのになれなれしい。

「触んな」

触られた肩をはらう。

「あいかわらずつめてぇな」

相変わらずって初対面だろうが。

「仲、いいんですか?」

話しかけた女生徒二人が私たちのやり取りを見て驚いたように言った。