もう一度だけでいい。
「花ヶ嶺さん嫌なんでしょ?だったら私がやるわ」
楓矢のファンクラブの会長だとか何とかいう赤崎 優那(Akasaki yuna)が私をキッと睨んでやさおに言う。
「こんなに積極的にみんなが手を挙げてくれるなんてうれしいな」
やさおはにこにこと笑っている。
「俺、茜とじゃなきゃやんねぇから」
「黙れ、楓矢」
せっかくやる気を出した女がいるんだ、私の出る幕はない。
「なっちゃん、決定な」
「ボケ」
楓矢はにこっと笑うと席に着いた。
……自己中バカ。
私は心の中でつぶやいた。