スピカ
 きっと、あたしは勘違いをしていた。


1人で空回りをして。1本の境界線を引く事で、自分を守ろうとして。


あたしを孤独にしていたのは、誰?

他人との関係なんて、薄くなったり、溝が出来てしまう事もある。

だけど、歩み寄る努力をしなかったのは、一体、誰?


あたし自身だ。


大切なものを「大切だ」って言う勇気がなくて、自分から拒んでいた。

大事なものが出来てしまう事が怖くて、怯えて、どんどん卑屈になって。あたしを傷付けるものなんて、全部消えて失くなればいいと思っていた。

だけど、
何度も何度もあたしに傷を刻み込んでいたのは、自分自身だったんだ。



その線を、飛び越える足を。

踏み込んでくる、人を。


あたしは、見逃しちゃいけなかったんだ。



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