スピカ
第9章 冷たい女
灰色に染まる景色。白と言うには薄暗くて、青と言うにも、どこか違う。冬の空はどこか空じゃないみたいで、不思議な感覚に陥る。
薄白い雲に一面を覆われ、その向こうには青い空も太陽も存在感を示さない。死後の世界があるとすれば、こんな感じではないだろうか、とぼんやり思った。
自然と腕が脇腹を抱え、身が縮まる。震える仕種は、歯痒くてあまり好きじゃない。あたしの意思とは反対に、体は勝手にぶるぶると肩を震わせるのだけれど。
寒さのせいなのか、それとも空腹のせいなのか、浮き上がった胃が少し痛い。午前中だけの短縮授業は、これだから、早く帰りたくなる。
これまでは、1日学校にいる事が縛られているような感じがして、嫌で嫌で仕方がなかったのに、今ではもう、1日中学校にいる事はなくなってしまった。
あたしの高校生活も、あと2週間ほどで終わってしまう。華やかと言うほど輝かしいものではなかったけど、悪くもなかった。極普通の高校生活だった。
それでも、やっぱり得たものはちゃんとあって、その価値の大きさをきちんと理解しているつもりだ。
親友と喜び。後悔。
現実、それから、温かさ。
大切にしなくちゃならない。
手放したくない。
そう思える今の自分は、自己満足でも、少しずつだけど成長しているのだと思う。
寒さのあまり、ずるずると鼻水が呼吸を邪魔する。啜る度に、冷たい空気が直接身体に入ってきて、喉咽を掠めていった。
薄白い雲に一面を覆われ、その向こうには青い空も太陽も存在感を示さない。死後の世界があるとすれば、こんな感じではないだろうか、とぼんやり思った。
自然と腕が脇腹を抱え、身が縮まる。震える仕種は、歯痒くてあまり好きじゃない。あたしの意思とは反対に、体は勝手にぶるぶると肩を震わせるのだけれど。
寒さのせいなのか、それとも空腹のせいなのか、浮き上がった胃が少し痛い。午前中だけの短縮授業は、これだから、早く帰りたくなる。
これまでは、1日学校にいる事が縛られているような感じがして、嫌で嫌で仕方がなかったのに、今ではもう、1日中学校にいる事はなくなってしまった。
あたしの高校生活も、あと2週間ほどで終わってしまう。華やかと言うほど輝かしいものではなかったけど、悪くもなかった。極普通の高校生活だった。
それでも、やっぱり得たものはちゃんとあって、その価値の大きさをきちんと理解しているつもりだ。
親友と喜び。後悔。
現実、それから、温かさ。
大切にしなくちゃならない。
手放したくない。
そう思える今の自分は、自己満足でも、少しずつだけど成長しているのだと思う。
寒さのあまり、ずるずると鼻水が呼吸を邪魔する。啜る度に、冷たい空気が直接身体に入ってきて、喉咽を掠めていった。