スピカ
「みーちゃん、お腹出てるぞっ」

「はぁ?」

せっかく人が珍しくしんみりしてるのに、何なんだよ!
イライラした目付きで、クソ親父の顔を見上げる。みーちゃん、だなんて気色悪い。何でガキ扱いなんだよ。

「うっさい! あんたにだけは言われたくねぇわ」

冷たく吐き捨てたのに、お父さんは怯む事なく笑っている。威厳もクソもない。

「もう欝陶しい! どっか行ってよ!」

ぶぅ、と言うと、今度は蛍姉の所に行く。ガキはお父さんの方だ。

視線を2人に戻すと、今度は楸さんがニコニコしているのが目に入った。

「旦那さんも幸せ者ですね。こんな美人で出来たお嫁さんを貰って」

「まぁ。ありがとうございます。でもお世辞を言ったって、何も出ませんよ?」

「あれ? やだなぁ、本音ですよ。
 俺が旦那さんと代わりっこしてほしいくらいですから」

楸さんは相変わらず軽い。
女だったら、誰でもいいのだろうか。
そういう所が、嫌い。

きっとそうやって何人もの女を食い物にして、傷付けてるんだ。

最低。最悪。


……大嫌い。

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