スピカ
真っ暗な空。色とりどりのネオン。行き交う人々。
どれもが、対照的。
この時間帯は会社帰りのおじさんか夜遊びの若者しかいない。援助交際には持って来いの、不健康な街。
流れていく人はどれも皆同じ。人形みたいに見えてしまうのは、あたしの目が腐っているからだろうか。だけど端から見ると、あたしもそのうちの1人で。何だか虚しくなる。
鞄や肩がぶつかるのなんてここにはよくある事で、いちいち謝ったりしない。だからあたしも気にならなくなった。
でも、人が多いのは嫌いだ。イライラしてどうしても眉が自然と顰まってしまう。慣れていても嫌いなものは嫌い。
視線を遠くに投げてみる。
いつものベンチが、今日は若者で埋まっていた。若者、とは言ってもあたしと同年代か少し上くらいなんだけど。
そのうちの1人があたしに向かって手を振っている。亞未だ。
手を振り返す代わりに、爪先をそちらへ向けた。
「雅、遅刻だよ!」
「ごめん、何か変なのに捕まって」
亞未は、何ソレ、と眉をハの字にして笑った。
「どうも。雅ちゃんだよね」
声の方に目を移す。いくら面倒臭いとは言え、無視出来るほどあたしは冷たい奴じゃなくて。
男の子が2人、亞未の後から近づいて来るのが見えた。
穏やかな性格とは逆に、背が高くて目付きのキツイ、悠成君。同じ高校だから、あたしももちろん知っている。亞未の彼氏だ。
もう1人は優しそうな男の子。悠成君とは対照的に、背が小さめで髪が真っ黒。
名前は……、何だっけ。
どれもが、対照的。
この時間帯は会社帰りのおじさんか夜遊びの若者しかいない。援助交際には持って来いの、不健康な街。
流れていく人はどれも皆同じ。人形みたいに見えてしまうのは、あたしの目が腐っているからだろうか。だけど端から見ると、あたしもそのうちの1人で。何だか虚しくなる。
鞄や肩がぶつかるのなんてここにはよくある事で、いちいち謝ったりしない。だからあたしも気にならなくなった。
でも、人が多いのは嫌いだ。イライラしてどうしても眉が自然と顰まってしまう。慣れていても嫌いなものは嫌い。
視線を遠くに投げてみる。
いつものベンチが、今日は若者で埋まっていた。若者、とは言ってもあたしと同年代か少し上くらいなんだけど。
そのうちの1人があたしに向かって手を振っている。亞未だ。
手を振り返す代わりに、爪先をそちらへ向けた。
「雅、遅刻だよ!」
「ごめん、何か変なのに捕まって」
亞未は、何ソレ、と眉をハの字にして笑った。
「どうも。雅ちゃんだよね」
声の方に目を移す。いくら面倒臭いとは言え、無視出来るほどあたしは冷たい奴じゃなくて。
男の子が2人、亞未の後から近づいて来るのが見えた。
穏やかな性格とは逆に、背が高くて目付きのキツイ、悠成君。同じ高校だから、あたしももちろん知っている。亞未の彼氏だ。
もう1人は優しそうな男の子。悠成君とは対照的に、背が小さめで髪が真っ黒。
名前は……、何だっけ。