スピカ
第4章 止まらない季節
蝉の声が響く。
マイクを通る声は聞き苦しくて、どっちかと言うと蝉の声の方がまだマシだ。ただ鳴いているだけだから。
堅苦しい話なんて、さっさと終わればいいのに。どうせ誰も聞いていないのだから。前に立っているだけの教師達も退屈そう。公務員は気楽なものだ。
ぼんやり視線を浮かせていると、入口から亞未が入って来たのが見えた。1学期よりも髪が伸びていて、生え際が黒くてプリンみたい。あたしの姿を見つけると、嬉しそうに近づいて来た。
「雅、おはよ」
いつもと変わらない声。
声を顰めなくても、特に注目される事はない。校長が話しているにも関わらず、静まり返ってさえいないのだから。真面目に話を聞いている生徒なんて、多分2桁にも及ばないだろう。
それくらいふざけた学校だ、ここは。
「雅が始業式に出てるなんて、珍しいね」
そう?と眉を寄せると、亞未は返事をしないまま、ハンドタオルで額を押さえた。開きっ放しの鞄の中からは、団扇まで顔を覗かせている。
大して急いで来た様子もないくせに、どうやら凄く暑いらしい。
マイクを通る声は聞き苦しくて、どっちかと言うと蝉の声の方がまだマシだ。ただ鳴いているだけだから。
堅苦しい話なんて、さっさと終わればいいのに。どうせ誰も聞いていないのだから。前に立っているだけの教師達も退屈そう。公務員は気楽なものだ。
ぼんやり視線を浮かせていると、入口から亞未が入って来たのが見えた。1学期よりも髪が伸びていて、生え際が黒くてプリンみたい。あたしの姿を見つけると、嬉しそうに近づいて来た。
「雅、おはよ」
いつもと変わらない声。
声を顰めなくても、特に注目される事はない。校長が話しているにも関わらず、静まり返ってさえいないのだから。真面目に話を聞いている生徒なんて、多分2桁にも及ばないだろう。
それくらいふざけた学校だ、ここは。
「雅が始業式に出てるなんて、珍しいね」
そう?と眉を寄せると、亞未は返事をしないまま、ハンドタオルで額を押さえた。開きっ放しの鞄の中からは、団扇まで顔を覗かせている。
大して急いで来た様子もないくせに、どうやら凄く暑いらしい。