‡一夏の思い出‡

拝啓 楓紫杏様
 
この手紙を見たということは
もう真実にお気づきなのですね

僕は、貴方に出会ったあの日
真っ白な病院でたった一人で息を引き取りました
けれど、僕は後悔だらけだった

貴方と始めて会ったあの日から
ずっとずっと貴方に憧れ
それなのに、あれから一度だって
あなたと話せなかったことが

そして、気が付いたら
僕はあの場所に居ました


貴方があの日あの場所に着て
僕を見つけてくれたときは
本当に夢を見ているのかと思いました

けれど、あの日々は夢なんかじゃなかった

僕は貴方を傷つけるとわかっていても
この想いを止めることができませんでした 
ごめんなさい

最初からわかっていたことでした
あの夢のような日々は続かないことを
けれど、もう最期なんだと感じたとき
どうしてもこの想いを止めることができなかった

ごめんなさい
ごめんなさい
どれだけ誤っても
きっとこの罪は償うことができないと思います

けれど
最期にもう一度だけ
もう一度だけ言わせてください

僕は貴方が好きです
大好きなんです

愛しています 紫杏


  風桐瑠衣
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