エリート医師の溺愛処方箋
「山岸晴美さん、二十二才、脳溢血の方です。
現在は安定しています」
「ありがとう」
彼はカルテをじっと見てから患者に話し掛ける。
「山岸さん?分かりますか」
患者の女性はキョロリと目だけを動かして返答してくる。
「うん。ちゃんと聞こえているね。
変化がもしあったらすぐに知らせて」
「はい」
…彼は一日に三度、必ず全ての患者さんを回診する。
その付き添いに研修医二名と看護師三名を伴う。
その中の一人に私が指名された。