エリート医師の溺愛処方箋
事務室のスピーカーから警音が鳴り響いた。
『救急指令センターです。
高速道路にて観光バスの横転事故発生です。
乗客と運転手二十八名がそのまま中に閉じ込められている模様。
医師の派遣を要請します』
途端に周囲が一気にざわめく。
夏目ドクターが指令センターに返答する。
「医師は何名?」
『一名で結構ですが、現地診療の経験者を求めます』
彼は振り返り、集まってきたスタッフに落ち着いた口調で言った。
「…俺が行くよ」