エリート医師の溺愛処方箋
「ところで千尋は子供が好きなの?」
…平静を装って訊ねる。
「うん、大好き。可愛いでしょ。
…何でいきなりそんな事聞くの」
「ううん、別に…。
バスの事故の時も赤ちゃんを助けてたわね」
「うん、この前葉書が届いて。
お座りできる様になった、って。
嬉しかったなー」
「…そう」
……私は彼に背を向けて、
……自分のお腹をそっと撫でた。
小さな命―――。
だけど、千尋に話せないままになっていた。