エリート医師の溺愛処方箋

私なんかが千尋の子供を、果たして産んでもいいのだろうか。

千尋が帰国して六ヶ月……。

彼の数々の縁談話を噂で耳にしてきた。

相手は製薬会社の令嬢だったり、病院の令嬢だったり…。
彼が断っているのか、いつしか話は消えて無くなってはいくけれど、その度に胸が締め付けられる。


私達の未来は……同じではないかも知れない…。


「そろそろ医局に戻るか」

彼の声で我に返り、笑顔を作って振り返る。

「うん。お腹空いたぁ」

「瑠花はいつも食い物だな」

「何よぉ」




< 155 / 208 >

この作品をシェア

pagetop