エリート医師の溺愛処方箋
……ショック…と言うよりは…、
このおかしな状況から逃げ出したい気分で一杯だった。
私は何も言わずにクルリと向きを変えて二人に背を向けると、そのまま外に飛び出した。
『アンタ、医者なんて止めときなさいよー。
気位の高いナルシーしかいないわよ。
そんな事が目的で看護師になったのぉ?』
つい昨日、電話で姉の美佐子に言われた言葉が頭をよぎる。
姉の言葉を……完全に否定は出来なかった。
医者が彼氏だったならみんなに自慢出来る……!
おバカな若き日の自分が抱いた思いは、まだ確かにある。