エリート医師の溺愛処方箋

分かっているのに心が彼を求める。

例え明日は彼が側にいなくても…。
傷付いて悲しみの闇に投げ出されても。

今だけなのかも知れないけど…。


「…遅いな…」

彼を待ちながらはや三十分は経っている。

一度医局に戻ろうと、私はゆっくりと引き返した。



人気のない閉鎖後の医局の廊下を静かに歩く。

医局長室のドアが微かに開いていて、電気の光が筋になって廊下を照らしていた。



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