エリート医師の溺愛処方箋
そっと近付くと、中から話し声がする……。
「…ねえ、千尋。
私を今更、捨てられるの?
そんな見え透いた嘘なんて、私には通用しないわよ」
……女性の声…?
「やめろよ。君には俺なんか必要ない。
君が欲しいのは副院長の肩書きだろ」
「なっ…!本気で言ってるの?
私はいつだって、あなただけを求めてきたわ。
愛した人が、たまたま次期院長の立場だっただけよ!!」
「…たまたま…?
俺の素性が解った途端に、あんなになりたがっていたリードルの教授の座を蹴って、こんな個人経営の総合病院に飛び込んで来たくせに。
ここでは君の研究も何の役にも立たないじゃないか」