エリート医師の溺愛処方箋
医局長室に戻ると、そこにはもう黒澤先生の姿はなかった。
私が部屋を見回しているのを見て千尋はにこりと笑った。
「明日香ならもういないよ。
…と、いうか、これからももう現れない」
「…え」
現れない、って…。
病院にいればまた会うでしょう?
「……辞めてもらったから」
「は?」
今、何て?
「彼女はそもそもここでくすぶっているタイプの医者じゃないんだ。
研究の方がその力を発揮出来るタイプなんだよ。
それに瑠花を傷付ける存在ならいない方がいいしね。
あ、ちゃんとリードルに戻れる様に推薦状を渡したから、心配要らないよ」