エリート医師の溺愛処方箋

医局長室に戻ると、そこにはもう黒澤先生の姿はなかった。

私が部屋を見回しているのを見て千尋はにこりと笑った。

「明日香ならもういないよ。
…と、いうか、これからももう現れない」

「…え」

現れない、って…。

病院にいればまた会うでしょう?


「……辞めてもらったから」

「は?」

今、何て?

「彼女はそもそもここでくすぶっているタイプの医者じゃないんだ。

研究の方がその力を発揮出来るタイプなんだよ。

それに瑠花を傷付ける存在ならいない方がいいしね。

あ、ちゃんとリードルに戻れる様に推薦状を渡したから、心配要らないよ」



< 98 / 208 >

この作品をシェア

pagetop