Chu-Lips
『おいおい、落ち着けよ。先生はまだ何も言っとらんぞ?』
「それでもっ…嫌なものは嫌なんです…!」
そう言った柚の決心は固い。
そんな柚を前に、井上先生は困っていた。
実は、頼み事というのは、転校生である伊津本人の希望だからである。
内容は、学校案内は森山 柚にしてほしいというもの。
転校生の希望はできるだけ叶えてあげたい井上先生だが、柚に拒否られては困り果てるしかなかった。
『頼むよ、森山。お前、伊津と知り合いなんだろ?だったら――…』
「だっ…誰がそんなこと…っ!?先生が何と言おうと、私はその頼み事は引き受けません!」
『おいおい…』
すがる思いで頼んだ井上先生だが、あっさりと柚に突き返されてしまった。
ちくしょー…
何でそんなに拒否るんだよー?
井上先生は、柚が何故そんなに拒否るのか、全く理解できなかった。