Chu-Lips
「――…ってことなの!お願い、聖花ちゃん!私と一緒にやってくれないかなぁ?」
全てを話し終え、祈るように聖花の言葉を待つ柚。
聖花の答えは…――
『……うん、分かった。一緒にしてあげる。』
やっぱり持つべきものは友人。
聖花が友達で良かったと、柚は改めて思った。
「本当!?」
『うん。柚、すっごく困ってそうだったし。』
「ぁ、ありがとう、聖花ぢゃんーーっ!」
『ちょっ、柚!?』
聖花の優しさに感極まり、涙を流して聖花に抱きつく柚。
中々いないだろう。
朝っぱらから泣いている女子高生は。
――『何、泣いてんの?』
そんな柚にかかった大きな影。
「!!」
『…ぁ、伊津くん……。』
さっきまで話題に上がっていた人が目の前にいて驚く聖花だが、もっと驚いているのは隣にいる柚だった。
どうしてコイツがここにいるんだろう、
と疑問に思う柚。
伊津はさっきまで女子の大群に囲まれていたのだから、そう思うのも無理はない。
『森山さんだよね?ちょっと話したいことがあるんだ。ついてきてくれる?』
有無を言わせない伊津の笑顔。
柚は知っていた。
伊津がこうゆう笑顔をするときは大抵、自分の身に悪いことが起きることを…。