Chu-Lips

『小柚？』

「っ……」


耳元でささやく伊津。

お子様な柚にはハードすぎるか、と伊津の脳内にそんな考えが過ぎるが、この際無視。

出来るなら、早く柚をこの手に落としたいのが本音だ。


「だって、」

『ん？』

「っ…だって私、そっ…そんなこと頼んでないもんっ！」

『！！』


柚の言葉に伊津は脱力した。

５年前もそうだった。

柚は、突然伊津が予想しないところで自分に盾突く。

そんなところが……面白いんだよな。


「だ、だからっ…が、学校案内もっ…私以外の人とッ」

『それはヤダ。』

「っ…！？」


あわよくば学校案内のことも…と思っていた柚だが、あっさりと伊津に却下される。

５年前も今も、伊津が一枚上手なのは変わらない。