Chu-Lips
一方伊津も、学校案内の件で引き下がるわけにはいかない。
少しでも柚と一緒に過ごしたいし、5年分の穴を少しでも埋めたかったからだ。
『クスッ…さっき友達に学校案内誘ってたみたいだけど…そんなこと、させないから。』
「なっ…どうして…っ!?」
私達の話、聞いてたの!?
もう泣きそうになっている柚。
『泣くな、小柚。』
「っ……?」
柚の頭の上に置かれた伊津の大きな手。
『お前を泣かせたいわけじゃない。だから泣くな。』
「ぉう、様…?」
目の前にいるの、ホントに王様…?
5年前までは、泣いている柚をほったらかしにしていた伊津が、今は泣くなと自分の頭を撫でている。
どうゆう風の吹きまわし…?
驚きで涙も止まり、ボーっとしていた柚に、伊津は、