Chu-Lips
『遅刻魔の森山も来たことだし、授業始めるぞー。』
「なっ…!?」
遅刻魔って…!
理不尽な言い方するなぁ、なんて思いながら、柚は先生から言われる教科書のページを開いた。
柚は元々朝が苦手だ。
早起きができない。
だから、度々遅刻寸前になることが多く、先生の間では遅刻寸前注意人物として知られていた。
特に井上先生は柚のことを“遅刻魔”と呼び、度々 柚をからかっている。
「…ふぁ……」
退屈な数学の授業。
さっきまで極度の運動をし、そのあと分かりにくい説明を受けている柚にとって、眠気が押し寄せてくるのに、そう時間はかからなかった。
…少しだけ…
少しだけ、眠らせて…
そうして眠気に負けた柚。
結局、何分経っても、柚は起きることはなかった。