Chu-Lips
『もーりーやーまー。』
ビクッ
「?!はっ、はいっ!」
ついには、井上先生に寝ていることがバレる始末。
柚には、授業中上手く睡眠を取るという神業は、まだ心得ていなかった。
『…遅刻にうたた寝。森山、朝礼終わったら俺んとこ来い。』
「はい…」
クスクス、とクラスメートに笑われる柚。
最悪…と思いながら、柚は真っ白なノートにシャーペンを走らせた。
『…では、この練習問題を、…35番!…森山か…解け。』
「えっ…?!」
その上、練習問題まで当てられてしまった柚。
今日はとことん運がないらしい。
「あの…分かんないです…」
『はぁ…間違っても良いから、黒板に書いた基本例題の解説見ながら解いてみろ。ほら、前に出て。』
「は、はい…」
ガタッと音を立てて柚は立ち上がり、教科書を持って前に出た。