Chu-Lips
『反省文とかいらねぇし、先生もう帰ったし、もういいだろ。ここにいる必要がない。帰るぞ。』
「ぁ、うん…。」
いつの間にか箒を片付けたのやら。
瑞季は柚の手を取り、国語資料室を後にした。
大きい瑞季の手。
5年前までは自分とさほど変わらなかったはずなのに…。
大きくなったんだ、瑞季くん…。
よくよく見れば、背の高さも全然違う。
柚はこの5年で10㎝も満たないほどの成長だが、瑞季はあれから20㎝も30㎝も伸びたようにも見える。
『何?小柚。』
「あっ…な、んでもない、よ…。」
切れ長の瞳と眼が合って、体温が上がる。
なんでこんなに…ドキドキしてるんだろう…?
『クスッ……』
顔を真っ赤にさせている柚に、瑞季が小さく笑った…。