Chu-Lips

でももう遅い。

あの頃の瑞季には好きな子に告白するなんて勇気、なかったのだから。

その結果、その思いをぁあいう形でしか柚に伝えられなかった。

それは、変えようのない事実――。


『もうしない。』

「え…？」

『だから、俺を怖がるな。』

「っ……み、ずき…くん……？」


でも。どうしても柚を手に入れたかったのもまた事実。

こうしてわざわざ帰国してきたのも全て、そのため。


この５年間、どんな思いでお前を想っていたか――…。

もう我慢はしない。

時間はある。

たっぷりと、俺に堕ちてもらうよ…――小柚。


驚いている柚に艶やかな笑みを魅せながら、どうやって柚を堕とそうか考えていた瑞季。


『行くぞ、小柚。』

「あっ…待って…！」


そんなことを考えているとは知りもしない柚は、黙って瑞季の後を追った。