Chu-Lips
『取り敢えず、来いよ。』
「えっ!?ちょっ…――」
ガチャッ
瑞季は強引に柚を家の中へ連れ込んだ。
ここで逃がすわけにはいかないと、瑞季の本能が騒いでいたのだ。
「…痛いよ、瑞季くん……。」
『小柚がトロいんだろ。』
瑞季はそう言って、リビングの方へ歩いていく。
変わらないところもあるんだ、瑞季くん…。
滅多に自分の非を認めないところは変わっていないと呆れる柚。
「お邪魔します…。」
ずっと玄関にいるわけにもいかず、柚は瑞季が向かったリビングへ行った。
「瑞季くん、私のどが――!?」
『あ、見た。』
するとそこには、制服から私服に着替える瑞季の姿。
しかも、柚は瑞季とバッチリ目が合ってしまった。
「私、いる…!何で、着替える…!?」
バッと目をそらして、瑞季に背中を見せた柚はテンパっている。
『制服、肩っ苦しいんだよ。このネクタイとか。』
「だっ、だからって…!」
『うるさい、小柚。興奮すんな。』
「こうふ…っ!?」
人聞きの悪い!
これは焦ってるだけだもん!!