Chu-Lips
そんな柚が赤面中。
瑞季に興奮していると思われても仕方がない。
…それにしても――
「みっ、瑞季くんっ」
『ん?』
まだ瑞季が着替えてるかもしれないと思った柚は、背中を瑞季に向けたまま話す。
「瑞季くんのお母さんはっ?どっか出かけてるの?」
さっき、玄関にはそれらしい靴もなくて、このリビングもキッチンもどことなく寂しい。
何もないからなのかな。
『クスッ…小柚にしては勘が鋭いね。』
「え?」
柚の後ろで意地悪そうに笑う瑞季に柚は気付かない。
『母さん?――まだアメリカだよ。』
「えっ――…!?」
ボソッと言った瑞季の一言があまり聞きとれなくて、振り向くと――瑞季が真後ろにいた。
しかも、上半身は何もまとわない姿で。