Chu-Lips



ふっ、服――!!

何も着てないって、どうゆうこと!?


「やっ…やだっ、瑞季くんっ」

『何、びっくりした?』

「おねが――っ…離してっ…!」

『それは無理だなぁ。』


目の前の裸体に恥ずかしくて、後ろを向こうとする柚を、瑞季が腕を掴んで離さない。

その上、艶艶と微笑んでいる。


『さっき、聞こえなかったんだろ?もう1回だけ言ってあげる。』

「!」

『母さんはいないよ?日本には。父さんもね。』

「!?」


柚の耳元で、わざとそう囁く瑞季。

ヤバい――

背中に悪寒が走った柚は、危険を察知して、抵抗を強めた。


「やっ…ホントにやめ――っ」

『離したら、どうすんの?』

「帰るっ――」

ダンっ!!


“帰る”

この言葉を柚が言った時、柚は壁に押し付けられた。

…今、何が起こった――?





< 52 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop