Chu-Lips
『分かった?俺の気持ち。』
「はぁ…ッ…はぁッ…」
一旦は満足したのか、唇を離した瑞季。
キスが初めてだった柚は息の苦しさを軽くしようと必死だった。
『もう、5年前とは違う。遠慮しないよ。何が何でも、小柚を俺のモノにするから。』
「っ…瑞季く――」
『そのために、この部屋用意してもらったんだし。』
「っ…!?」
抱きしめられたまま、囁かれる柚は、腰を抜かしていた。
瑞季のキスで、骨抜きにされたのだ。
「や…っ、瑞季くっ…!」
『腰抜かしてるくせに、よく言うよ。』
瑞季に思いのままお姫様抱っこされた柚は、素直に瑞季の首に腕を回した。
「…ぁ、りがと……」
『待ってろ。』
リビングのソファまで運ばれて、柚はお礼を言う。
この5年で、こうも変わるのだろうか、人というものは。
こんなに瑞季くんが優しいなんて――…
最早さっきのキスの情事なんて、気にもなっていない柚であった。