Chu-Lips
そのほかにも、夕食の時間には瑞季を呼び、瑞季の夕食も準備している柚の母。
「…じゃぁ、行ってくるね?」
『はぁい!今日も頑張って!瑞季くんと帰ってくるのよ~!?』
「…はーい…。」
のんびりしていると遅刻してしまうと柚は家を出た。
エレベーターに乗った柚は、頭を抱えた。
柚には、ここのところ気になることが多々あった。
それは、どうして母はあんなにも瑞季を気にかけているのか、だった。
確かに瑞季の両親と柚の両親はアメリカに行く前までは仲良しだった。
俗に言う、家族ぐるみのお付き合い。
でも、瑞季たちがアメリカに行ってから、母達が瑞季の両親と連絡を取り合っている様子は全くと言っていいほどなかった。
だから、てっきり柚はもう瑞季たちのことは気にも留めていないのだろうと思っていたのだ。
それなのに、母は勿論、出張から帰って来た父までもが、瑞季が帰国したことに驚きもせず、むしろ瑞季の帰国を予想していたのかのように瑞季を歓迎したのだ。
あんなにも自分は瑞季の帰国を驚いたというのに。
お弁当は勿論、夕食まで。
しかも最近は、やたら2人は出かけていき、柚は強制的に瑞季に預けられることが多くなった。
何かある、とまではさすがに思わないが、柚は不思議でたまらなくなっていた。