Chu-Lips
「聖花ちゃんのバカ…。」
『ご、ごめんって…。』
聖花のおかげですっかり静かになった教室。
居た堪れない空気になったのは、全部聖花のせいだと思わせる柚。
『でもバイトって…。柚、分かってる?ウチの学校はバイト禁止なのよ?』
「そうだけど…。」
『だけどって…。いきなりどうしたのよ?』
聖花の問いかけに、柚の顔は下がって行く。
何故か、今の学校が楽しくないんだ。
理由は分からない。
だけど、瑞季が帰国したことで、今までの日常が少しづつ壊れて行くような気がしていたんだ――…。
それならば、いっそのこと…、
「じゃぁ、部活でもいい。何かやりたい。」
『柚…。』
「このままじゃ、なんかダメなの…。」
この何とも言えない気持ちをどうにかしたいんだ。
それなら、何か自分が熱中できるものを見つけたい。
そして――…。