Chu-Lips
ん~…
考えても考えても、いい案はなく。
柚はついに、やっぱり自分に合う部活などないのだろうかと思っていた。
「………。」
柚はいつもそうだった。
何かしたいと思うものの、それを実行するための考えが全く思い付かない。
そうして結局、最後にはやらずに終わる。
そんな後悔ばかりを抱え、過ごしてきた柚にとって、その思いは実現させたいと強く思っていた。
『…――じゃぁ、森山さん、この反応の化学反応式は?』
「へっ…、」
こういう時、大抵自分はあてられる。
今は化学の授業中だった。
聞かれているのは、硫酸と水酸化ナトリウムの中和反応の化学反応式を答えよ、というもの。
「え…っと、H₂SO₄+2NaOH→Na₂SO₄+2H₂O…です。」
『正解っ!』
スラスラと答えることが出来て、ホッとする柚。
化学は出来るんだよねぇ…。
柚は化学の教科書をペラペラとめくった。