Chu-Lips
カツッ!
「来た!!」
『えっ!?嘘…!』
教室のドアをガン見する柚の後を追って、聖花も教室のドアに目を向けた。
ガララッ
「!!」
『皆、席につけー。』
次の瞬間、入ってきた人物は…
「嘘……」
『なんだぁ〜井上先生じゃん〜。脅かさないでよ、柚〜!』
担任の、井上先生だった。
『じゃ、あたし席に戻るから。』
「ぅ、ん…」
にこやかに席に戻っていった聖花とは反対に、柚は方針状態でうなだれていた。
そんな…
あの足音は、井上先生のもの?
だったら、何で今まで私は井上先生の足音に気づかなかったの?
たまたま?偶然だから?
朝礼をいつもどおりに進めていく井上先生を見て、柚は思った。
違う…
あれは、井上先生の足音じゃない。
じゃ一体、誰の?
ここに入ってきたのは、井上先生、ただ1人。
だったら、廊下にまだ誰かがいる…?
カツッ
「!」
来た!!
瞬時に柚はその足音を感じとった。