Chu-Lips



結局、2人がベッドから出たのはそれから30分後のことだった。

柚は簡単な朝食を作り瑞季と朝食を済ませると、自分の部屋に戻り学校の支度を済ませた。

今日は金曜日。

今日頑張れば、明日からお休みだ。

そう自分に言い聞かせて、重い腰を上げる。


「ぁ、お弁当…。」


ふと柚は思い出した。

母がいないのだから、自分がお弁当を作らなければならない。

でも、もう5分ほどで家を出なければ遅刻してしまう。

瑞季くんには悪いけど…今日は食堂だ。

鳴り響いた家のチャイムに、柚は我に返り、バッグを持って玄関を出た。


ガチャッ

「え、瑞季くん…?」


玄関の外には、制服姿の瑞季が立っていた。


『早くしろ。遅刻するだろ?』

「あ…うん!」


瑞季に催促され、家の鍵を閉めた柚は、瑞季の後を追う。

いつもは別々なのに、今日は一緒に登校するらしい。

どうしたんだろう?




< 89 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop