Chu-Lips



―――案の定、学校では瑞季と柚の仲が噂され始めた。

周りが騒ぐのも無理はない。


朝、課外が始まる前に、瑞季が柚に…キスをしたのだから。

教室の、黒板の前で。

ただでさえ2人が並んで教室にやってきて、皆が騒いでいるところに。


まるで、柚は俺のだと知らしめるのは今しかない、と言うように、瑞季は朝から柚に熱いキスをしたのだった。


『っ…柚!一体どーゆうこと!?』

「聖花ちゃん…。」


クラスメートの女子のほとんどが悲鳴を上げる中、聖花は柚を連れだして屋上にやって来た。


『どうしてキスされてんのよっ…!もしかして、付き合ってるの!?』

「…うん。そうなんだ…。」

『っ…!?ウソでしょ…?』


嘘じゃないんだよ、聖花ちゃん…。

あっさりと瑞季との交際を認めた柚に、聖花は眩暈を覚える。

まさか、自分の知らない間に、瑞季が柚を自分のモノにしていたなんて、思ってもみなかったからだ。





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