Chu-Lips




「――瑞季くん、」


騒がしい教室。

今は昼休みに入ったばかり。


皆がザワザワとしているなか、柚が初めて、学校で瑞季に話しかけた。


『どうした、小柚?』


外で瑞季に話しかける事はほとんど初めてに等しい柚は、返って来た優しい瑞季の眼差しに安堵した。

そこからは、笑顔が見れる。


「あのね、今日…お弁当なくて、申し訳ないけど、学食でいいかな…?」

『ぁあ。そのかわり、小柚も行くんだろ?』


本日、注目の2人が話しているとなると、騒がしかったクラスも静かになった。

皆が黙って、柚と瑞季の話を聞いている。


「え?ぁ、うん、でも――」

『あたしもいるんですけど。』

「聖花ちゃん…っ!」


不機嫌そうに2人の中に割って入ったのは聖花。

いきなりの割り込みに、柚はとても驚いている。





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