Chu-Lips

『小柚？』

「あっ、あのね！聖花ちゃんも一緒だけど…いいかな？」


不安げに、瑞季を見つめる柚。

実は、瑞季はこの、柚の困った顔にすごく弱い。

顔には出さないが、そんな風に見つめられると、さすがの瑞季でも照れるのだ。


好きな仔だったら、誰でもそうなるだろ…!?



「俺は――」

「ふん、返事なんか聞かなくていいのよ。伊津には、聞きたい事がたーくさんっあるしねぇ？」

「せっ、聖花ちゃん…！？」


切れ長の目で瑞季を睨む聖花。

その隣では、アタフタしている柚。

そしてそれを、仕方ないなぁと眺める瑞季。


でも、瑞季と聖花の間では、静かな火花が散っていた。