9日


その日の夜、寝れなくて布団の中で将来について考えた。




夢なんて本当はどうでも良かった。


ずっとこのままで時間が止まればいいのに。


私にはなりたいものがないんだ。




と、同時になぜか岡田先生が浮かんだ。


いつも相談にのってくれた人。



今の親友がいるのも岡田先生のおかげ。




何か岡田先生に恩返ししたかった。




先生にとって嬉しいこと…?






岡田先生みたいな先生になること!




自分に憧れて同じ職業を目指してくれるなんて嬉しいかなって考えた。


しかも本当に岡田先生みたいな人になりなかった。




昔、先生になりたいなとも思ったし、岡田先生と趣味同じだし。




こうして私の夢は決まった11月9日だった。




私はある紙切れに書いた。




“私は今日、岡田先生みたいな先生になり、これからも尊敬し続けることを誓います。

2010年11月9日”




誓います、とか結婚式みたいだなー。






中間テストが始まった。


私は宣言通り、社会を頑張った。

その分、数学は壊滅的だった。



社会のテストが返ってきた。


前回は72点だったのに今回は90点だった。



すごい進歩!



人を好きになるってここまで頑張れるんだ、と。




また採点ミスを見つけた。


2点上げてもらって92点になった。




私は岡田先生も岡田先生の社会も好きになっていった。




授業ファイルとテスト勉強したノートも一緒に提出した。


それも、テストと一緒に返ってきた。




汚い字のコメント付きで。




《すごいね。絵もうまいし、まとめるのもうまい。社会の先生になれますね(^o^)》




将来の夢は決まったけど、まだ誰にも話していない。




なのになんで私が社会の先生になりたいってこと、知ってるの!?




コメント読んでて、冷や汗が出た。




でもすごい嬉しかった。




放課後、美月の面接練習が終わるのを待っていた。




岡田先生に廊下で会った。




なかなか言えなかったけど、言いたかったことを言った。

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