君が好き。
朝の登校時。
一方的に話をする私と、
基本無言でたまに相槌を
うつだけの先輩。
あ、もう学校に着いてしまう
今日も、あいづちうたれるだけだったなぁ..
2年生の靴箱と3年生の靴箱の分かれ道で、
いつものように立ち止まる
『先輩、今日は、
何時に部活終わりますか?』
『...6時』
『じゃあ、校門で待ってますね!』
『...ん』
『では、また後で!』
『...』
私は小走りで靴箱へ向かう。
こんな朝でも先輩と一緒に
学校に行けるだけで嬉しいし、
先輩と会えただけで嬉しい。
学年が違うせいもあって、
私にとって朝と放課後の登下校は
とても貴重で大切な時間だった。
『..でもね芽依?
そんなにのんびりしてて良いの?』
朝の状況を親友・真帆に話すと、
真帆は小さくため息をつき、そう言った。
『だって、いつもこうなんだもん』
そう、私が告白してOKをもらってから
約一ヶ月が経つが
一緒に登下校してる以外、
恋人らしいことは何もない。
『明日で一ヶ月でしょ?
最低でもデートするくらいはしなさいよ?』
『うん..』
だけど実際、先輩は明日が
一ヶ月記念日だなんて覚えてくれて
いるのか、分からない。
いやきっと、気づいていないだろう。
だけどやっぱり、
初記念日は二人で祝いたい。
一緒にいたい。
『いい、芽依?
明日水曜日だから部活無いし、
ちょうど良いじゃん!
頑張りなよ!?』
『でも、先輩に何て言えば..?』
『そんなの、
“水曜日の放課後デートしませんか?”
ってストレートで良いのよ。
あの先輩、クールで無言だから
何考えてるか分かんないし。
ちゃんと自分の意思を伝えるのが良いと思う。』