Tricksters勤務外活動報告書
「お気の毒は、お前の頭の中だよ。
友達とかいないのかよ」
「いない。いるのは、俺の立場利用したい奴らか、この顔に惚れた女だけだ」
淳一は、小さく頷いた。
「お前は、顔だけじゃねーよ」と呟いた。
大粒のホタテを醤油に少し浸す。
その淳一の手をゼンが掴んで、ホタテはゼンの口の中に消えた。
「あーっ! 俺のホタテ!」
「うるさい。俺の金で食ってんだから文句言うな」
「だからって、人の手から食うことねーだろ! バカ」
「バカって言っちゃいけないんだー」
「人のもん盗る奴のほうがいけないんだぞ!」
高級寿司屋のカウンター席で言い合う男たちを店内の客は、首を傾げながら見ていた。