Tricksters勤務外活動報告書
他の女みたいに媚びたりしたくない。
ただ、"デートに連れてって"
その一言が言えない。
だから─────……
「言えよ。ユカリ
どうして欲しい?」
後ろから抱き締められた両腕に、身を委ねたりしない。
「仕事中です。お仕事しましょう」
「仕事か……そうだな」
離れないで……
その狡い腕の中が、どんなに居心地がいいのか
体が覚えてる。
その腕の中で迎える朝が、どんなに輝いているか知ってるの。
体が引き裂かれてしまいそうな想い。
なんで、こんな男を愛してしまったんだろう……
「DEMEKINランドは、嫌だけど
海くらいなら連れてってやるよ。次の休みの朝迎えに行くよ」
自分だけが特別なわけじゃない。
「だから、泣くな」
触れた唇が、優しすぎて……
勘違いしてしまいそうになる。
第1話 END