断崖のアイ
「彼らはずっとあなたを守り続けているということですか」

「そうだろうね」

 無表情に応えた彼から視線を外し、苦い表情を浮かべる。

「邪魔だと認識した者は排除するのですか」

 問いかけには応えず、部屋は沈黙で満たされる。

「あなたの言葉では……彼らは止められないのですね」

 青年の声に視線が動く。あまり感情を表さない彼の表情に、やや曇りが見て取れた。

「彼らに私の意思を考慮するという選択肢は無い」

 ただ彼を守れればそれで目的は果たされている、恐ろしいまでの信仰心とも言える。

 ベリルは、その暴走を抑えるだけで精一杯なのだろう。こうして、あえて目に触れるようにする事で抑えられるものもある。
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