断崖のアイ
「お前……どういう目的で自分が造られたか知ってるか?」

「解りません。ただ」

「ただ?」

「全ての知識を学び取れと言われました」

「!」

 ブルーは思案して、ゆっくりと問いかける。

「お前は、生物兵器として造られたんじゃないんだな」

 その言葉にベリルの表情に少しの変化が見られたが、視線を外してつぶやくように発する。

「返答しかねます。私は真実を知らない」

 そうだろうな。たった5歳で何を知る事が出来たのか……

「あなた方は私を生物兵器だと考え、拉致したのですか」

「そうだ」

 ベリルは返された言葉に、ただ無表情な瞳を向けるだけだった。
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